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「水深による水の違い」を知って、サーモクラインを狙い、ターンオーバーを攻略しよう。

「水深による水の違い」を知って、サーモクラインを狙い、ターンオーバーを攻略しよう。

バスを釣る上で大きなキーとなる要素が水温。「俺は赤外線温度計で水温を計っているよ。」 という方もいるだろう。

しかし、表層以外の水温を知るとしたら?

水温を知る事でバスの居そうなエリアやレンジを掴むだけでなく、水質を推測する事もできるのだ

 

湖の水深別に水温の変化をみてみようーサーモクラインは夏にできる

湖の水温を決定する因子は、気温、降水量、気流、地形、蒸発量、流出量等、多岐にわたっている。

たとえば、琵琶湖北湖の平均水深は44m。この水が、表面への日照、気流、降雨等により、夏期には暖められ、冬期には冷やされる。

それにより湖の水は対流を起こす。園、野村(滋賀県立衛生環境センター)は、これらにより決定される琵琶湖の水温、溶存酸素濃度を、測定とコンピュータシミュレーションによって求めている。

図1を見てもらいたい。 これが琵琶湖北湖の年間を通じた水温の変化である。

この図で一番面白いところは、中層に当たる、表層より下から水深40mまでのところは春と秋で全く違う水温を示す、というところだ。

図1:各水深における水温の測定データとシミュレーション(原著より転載)

春(4月から7月)は表層から暖められていくため、水深に応じた水温の傾斜が形成され、夏に近づくにつれてその差(グラフの間隔)が広がっていき、秋(9月から12月)は逆に、夏までに形成された水温の傾斜が、上から冷やされることにより次第に解消してくると考えられる。

鋭い方はもうお気づきだろうが、この水深の変化に対する急激な水温の変化が「サーモクライン」

図2に示した、月毎の深さ方向の水温分布を見れば、よりわかりやすいだろう。サーモクラインは夏に形成されることがわかる。

図2:水深を縦軸に、水温を横軸に取ったグラフ(原著より転載)

さて、9月をすぎた頃の水温分布を見てみると、水深が深くなってもなかなか水温が変わらないところがあることに気づいていただけるだろうか。この部分では表層と底部の水が撹拌されることで一定の水温の層ができている。これは対流の影響で、いわゆる「フォールターンオーバー」というやつである。冬に近づくにつれて一定水温の層は深部に広がっていくのがわかる。

ターンオーバーによって酸素が湖に行き渡るー秋から冬は深さに注意

ターンオーバーは私たちバサーの大敵だ。対流による湖底部のよどみが表層にまで広がって、釣りにならない。しかし湖の生態系にとってターンオーバーは非常に重要な意味を持つ。それは底部への酸素供給および表層への硝酸態窒素供給に象徴される。湖の生態系を決定する上で、こういった水の循環は大きな意味を持っているのである。

論文を読み解くことで、サーモクラインができる水深とターンオーバーの季節がわかってきた。
さて、この知識からバス釣りにどう活かそうか?一緒に考えていこう。

バスが住みやすい水深を探るーサーモクライン編

サーモクラインは、温度も適切で酸素も豊富。バスやそのベイトフィッシュにとっては最高の居場所だ。

それならアングラーがそこを狙わない手はない。サーモクラインができている季節は、そこを狙おう。目安は5-10mだ。図2の点に注目してほしい。例えば7月、0~5mの水温は変わらず、5mで変わり始める。ここが狙うべきサーモクラインだ。

バスが住みやすい水深を探るーターンオーバー編

秋の釣りを想定して考えてみよう。ターンオーバーの対流の中では、底部の溶存酸素濃度の低い水が表層に上がってくることで、バスにとっては住み難い環境が急に現れることになる。これがバスの活性が落ちる原因であろう。これにさらに濁りが追い打ちをかける

やはりターンオーバーの中をわざわざ釣るのは賢明ではない。​図2で見たように、冬に近づくにつれて、ターンオーバーは表層からより深い所まで拡大していく。それなら、ターンオーバーを起こしていない層までレンジを下げて釣ればいい。​

たとえば、10月初旬なら10~15mのどこかにターンオーバーしていない水深がある。正確な深さは温度計を使って推測してみよう。

そしてここで重要なのは、表層の水温ではなく、釣ろうとしている水深での水温なのだ。 魚探や赤外線の水温計で測れるのは表層の温度だ。ターンオーバーを起こしている層の水温は分からない。その層の深さを知るためには、温度計を沈めなければならないのだ。

少し大変。それなら、エリアで絞るのはどうだろう?

ターンオーバーが影響しにくいエリアは?

逆に、ターンオーバーが影響しにくいエリアを探る、という手もある。

たとえばインレット。この付近は湖の外からの流れが支配的になるから、ターンオーバーはもはや気にしなくていい。

そしてシャローエリア。ここは、深さがないのでそもそもターンオーバーは起こっていないだろう。

湖の流れを考えると、秋から冬にかけては、こういったエリアを狙っていくのが得策ということになる。

おわりに

今回は、年間を通した琵琶湖北湖の水流からバスが釣れそうな水深やエリアを読み解いてみた。いかがだっただろうか?

あなたの釣りの経験と比較してみてほしい。もしかしたら、今回導いた答えと違う結果が出たことがあるかもしれない。

それはなぜだろうか。風、雨、気温の変化、プレッシャー。バスに影響を与える要素はたくさんある。自分なりの仮説を立て、違っていたら考え直す。

ほうら、あなたはもう「釣りを科学する」楽しさにはまってしまった。

参考文献

琵琶湖における水温、水流の年間変化
(園,野村,琵琶湖生態系モデルに関する研究-1次元水温モデル,滋賀衛環セ所報 25,44-56,1990)

書いた人

芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。理系大学を出て、某メーカーでの30数年のキャリアの間に出願した特許はざっと100件。理屈ばかりにやたらうるさい技術者がバス釣りにはまった。自然の中に身を置く快感、極上の思考ゲーム、テクニックとツールの融合、緊張感とリラックスの混在・・・。こんな遊びは他にない。釣りの中でも特別だ。そしてたどり着いたのがSmart Fishingという楽しみ方。あなたにもぜひそのおもしろさを感じてほしい。

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