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北浦のヨシ原に棲むベイトフィッシュの生態

北浦のヨシ原に棲むベイトフィッシュの生態

夏が来た!

夏と言えばかき氷、スイカ割り、お化け屋敷、ブッシュ撃ち!

関東のメジャーレイク、北浦でも夏のヨシ原は見逃せないポイントだ。そこに潜むベイトフィッシュは何なのか、季節ごとにどのように変遷していくのか。Match the Bait を標榜するバサーなら知っておきたいよね。

まず最初に重要な事を断っておく。この調査地域は禁漁区になっている。ベイトが多いからと言って絶対に侵入しないように。この章は一般的なヨシ原での生態系として紹介しているのであって、そこに行くべしと言っているのではない。

調査方法

碓井(東京大)らは、茨城県北浦の宇崎において、ヨシ原に棲む魚類の採集調査を2年間にわたって実施した。宇崎には雁通川の流れ込みと周辺のワンドに、長さ800mにわたるヨシ原が広がっている。

このヨシ帯に出現する魚類の季節変化を明らかにするために,2009年4月から2011年3月にかけて,宇崎のヨシ帯前縁において(図1)、毎月1 回の頻度で日中に魚類の採集を行った。

採集には小型地曳網(袖網長4m、高さ1m、目合2 mm×2 mm、胴網部の長さ4m、目合1 mm×1 mm)を用いた。

図1[1]

季節ごとにヨシ原に棲む魚種と大きさを知る

調査期間を通して採集された魚類は, 9 科 22 種 13,892 個体であった。

科別の種数はコイ科が9 種と最も多く,次いでハゼ科の5 種で, 残りの7 科では1 種もしくは2 種のみであった。

個体数では,ハゼ科が8,873 個体と最も多く,全体の63.9%を占め,次いでサンフィッシュ科(2,781 個体,20.0 %),シラウオ科(1,161 個体,8.4%)であった。

優占種上位8 種の個体数密度の経月変化を図2に示した。

図の読み方を説明すると、棒グラフは採集に用いた小型地曳網の1曳網(80m2)毎に採集された魚の個体数を表し、左軸で読む。黒点と線で表されているのがその個体長の平均とばらつき幅で、右軸で読む。

例えばシラウオは5月(M)に平均体長20mmであった仔魚が、翌年の4月(A)まで次第に成長して75mm程度になり、翌5月(M)に新しい仔魚が誕生して親魚は死滅するため平均体長が再び20mmになったことを示している。

図2[1]
ここから分かる事をまとめると、

  1. 魚類の種数と総個体数は春季から夏季に多く,冬季には減少する傾向がみられた。
  2. 春季から秋季を中心とした魚類には,ヌマチチブ,シラウオ,モツゴ,ヨシノボリ,ブルーギル,ウキゴリ,タイリクバラタナゴなど多様だった。これらの魚類は繁殖や成長のためにヨシ帯やその近傍に来遊してくる。
  3. ワカサギとシラウオについては,沿岸帯から沖帯まで湖全体の表層から底層を遊泳し,ヨシ等の構造物に群れる習性はない。
  4. 冬季を中心とした魚類群集では,出現個体数の大部分をシラウオとアシシロハゼが占めており,種の多様性は低く、その数も夏季の1/10程度であった。

ヨシ原での季節別タクティクスは?

なるほどね。我々が抱いていた感覚と大きなズレはないが、やはり参考になる部分が多い。では釣りのタクティクスに落とし込んでいこう。

  1. ヨシ原に最も魚が集まるのは春から夏。特に6月から8月だ。魚種としてはヨシノボリ等のハゼ類が圧倒的に多い。ついでモツゴ等のシャッド系。ルアーの選択や動きもこれらを意識しよう。
  2. 逆に冬季にはほとんど魚が見られなくなる。わずかにモツゴとブルーギルが見られるが、その数は夏季の1/10程度。冬のヨシ原は重要視しなくてもよさそうだ。
  3. Match the Bait なら大きさにもこだわろう。それぞれのベイトフィッシュのサイズは季節ごとに変動するが、図2にその平均とばらつきが示されている。例えば6月に大量に見られるヨシノボリであれば10mm、7月なら20mm程度。ただし8月を過ぎるともうヨシ原にはいなくなる。
  4. ワカサギ、シラウオはあまりヨシ原に寄ってこない。シラウオパターンをヨシ原で行ってもあまり意味はない。ただ図2に示された月ごとのベイトの体長は大いに参考にすべし。シラウオなら7,8月に20~30mm、10,11月には60mm程度に成長する。

という事で、我々が春から夏にヨシ原を撃っているのは見当外れではない。ただしここでの調査は魚類に限定されている。ヨシ原にはエビ類、ザリガニ、カエルなども生息しており、これらをターゲットにバスも潜んでいる。それを意識した釣りはまた少し違うパターンとなるだろう。

ベイトがいるからバスがいて、バスがいるからバサーもいるのだよ。

参考文献

茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化 (碓井ら;日本水産学会誌 81(6)964-972 (2015) )

書いた人

芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。理系大学を出て、某メーカーでの30数年のキャリアの間に出願した特許はざっと100件。理屈ばかりにやたらうるさい技術者がバス釣りにはまった。自然の中に身を置く快感、極上の思考ゲーム、テクニックとツールの融合、緊張感とリラックスの混在・・・。こんな遊びは他にない。釣りの中でも特別だ。そしてたどり着いたのがSmart Fishingという楽しみ方。あなたにもぜひそのおもしろさを感じてほしい。

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