
琵琶湖付近でのマッチザベイトのために知っておくべき、意外な研究結果
マッチザベイトという考え方を実行するにあたって一番大事なのが、そこにいるバスが何を食べているのか?をしっかりと把握すること。
しかし、世界最大のバスフィールドである琵琶湖でも、「バスが本当に食べているものは何か?」ということは、あまり知られていません。ここでは、「バスの胃の中を覗く」というかなりダイレクトな手法で調査された、琵琶湖付近でのバスの食性に関する研究をご紹介します。
研究の概要
時期:6月~9月
場所:琵琶湖近くの野田沼
方法:ヨツデ網や投網でブラックバス152匹を捕まえて、胃の内容物を見たり、腸の中のフンに含まれるDNAを手がかりにしたりして、食性を調査した
意外な結果に
調査の結果、わかったのは以下の3点です。
・1つ目。魚の中では、アユを好んで食べていた。これは、調査した場所が濁っていてアユの泳ぎが阻害されていたからかもしれないし、バスがよく捕食行動をとる朝、夕マズメの時間の明るさがバスの目に適しているからかもしれない。

アユが意外にも好んで捕食されていた。
・2つ目。魚と同じくらいエビも捕食されていて、スジエビが圧倒的に捕食されていた。割合で見ると、アユよりスジエビ・の方が食われていた。不思議なことに、ヌマエビはほとんど食われていなかった。バスが夜間でもよく見えることが関係しているのかもしれない。

バスが好んで食べるスジエビ
・3つ目、大きいバスほど大きいベイトを食っていた。逆に大きいバスは小さいベイトを食っていなかった。
の、主に3つでした。
泳ぎが上手く捕食されづらいとされるアユですが、意外なほどに食べられていることがわかります。
また、この実験で1歳ほどのブラックバスは大型の魚を好んで捕食することがわかったため、ブラックバスの在来魚の稚魚への影響は相対的に低いことも示されています。
今回紹介した研究「琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる摂餌整体の推定」(2012, 杉浦、田口)は以下のリンクから全文が読めます。ぜひチェックしてみては?
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/78/1/78_1_43/_pdf/-char/ja