琵琶湖周辺の内湖およびインレットに生息する魚種

琵琶湖周辺の内湖およびインレットに生息する魚種

バス釣りの聖地といえば琵琶湖。この琵琶湖周辺において、どのような地形の湖沼や河川に、どの魚種が住み着いているかを分析した研究を紹介しよう。他の研究とも組み合わせて、実際どんな釣りをするか、まで考えることができる。広く我々の参考となるのではないだろうか。

琵琶湖周辺の魚類調査方法

琵琶湖博物館の中島らは、1998年3月から2000年11月に、琵琶湖南湖周辺の10市町村
の琵琶湖湖岸、内湖、河川、小河川、水路、池などの879地点を調査した。
(草津市,守山市,栗東市,中主町,野洲 町,石部町の全域,近江八幡市,大津市,志賀町,甲西町の一部)

図1:調査した地域(*より引用)

採集は主にたも網により実施し、採集された魚は、16科42属55種であった。 全採集地点および主な魚種毎の採集地点を以下に示した 。

図2:調査した地点(*より引用)

どこにどんな魚がいたのか

本論文では採集された55種全てについての採集地点を魚種別に示してるが、バサーとしての注目点は二つ。
①どのような地形の湖沼にバスは潜んでいるか?
②そこにいるベイトフィッシュは何なのか?

著者はクラスター分析という手法により、どの魚とどの魚が同じような地形の湖沼に住んでいるのかを明らかにしてくれた。調査地域の地形をデルタ、扇状地、丘陵・山地 に区分し、20ケ所以上で採集された魚種を対象にクラスター分析を行った結果、AからDの4つのクラスターが不明瞭ながら認められた。

クラスターA
オイカワ,カマツカ,アユ,ヌマチチブ,ウキゴリ,オオクチバス
デルタ帯から扇状地帯,河川平野(野洲川中流域平野や瀬田川・大戸川沿いの平坦部)に広く分布する。

クラスターB
カワムツA,タモロコ,ヤリタナゴ,メダカ,モッゴ,ギンブナ,コイ,ドジョウ
クラスターAと同様に、デルタ帯から扇状地帯、河川平野に広く分布する。

クラスターC
カワムツB,ドンコ,カワヨシノボリ
クラスターAと同様に、デルタ帯から扇状地帯、河川平野に広く分布する。

クラスターD
ブルーギル
主としてデルタ帯に分布する。

これはいわば各魚種のテリトリーを示すものであり、オオクチバスはオイカワ,カマツカ等と同様、丘陵・山地を除く水域に広く見られている。ブルーギルは主にデルタ地帯(扇状地帯よりも低い標高に属す)に生息している。つまりバスは琵琶湖から平野部の河川までが主な生息地なのだ。そして同じ水域にはアユ、オイカワ、カマツカなどが生息しており、バスはそれらをベイトとしている。ギンブナやナマズとは生息域が少し異なるようだ。琵琶湖からせいぜい標高3m登ったデルタ地帯までを生息地とするブルーギルとも少し異なる。
ただしこれは標高84mという巨大湖、琵琶湖に関しての調査結果。同様の形態を示す霞が浦水系や牛久沼とは共通する部分が多いであろうが、山上のダム湖には当てはまらないと考えるのが妥当だろう。

それでは、ブラックバスと似た環境に生息するとされたクラスターAの魚種について、順に見ていこう。

まずはバスが捕獲された地点がこちら。

 

オオクチバスが見つかった地点(*より引用)

次に、オイカワが捕獲された地点がこちら。

 

オイカワが捕獲された地点(*より引用)

カマツカも似たようなところに生息するようだ。

 

カマツカが捕獲された地点(*より引用)

アユも生息地が似ている。

 

アユが捕獲された地点(*より引用)

ヌマチチブ、ウキゴリといったボトムに住む小魚も同じクラスターだ。

 

ヌマチチブが捕獲された地点(*より引用)

 

ウキゴリが捕獲された地点(*より引用)

他の研究と照らし合わせて釣法を探る

バスのベイトという観点からは、釣り工学で紹介された「【マッチザベイト】琵琶湖付近のブラックバスは、主にアユとスジエビを食べていると判明」での調査結果とも合致する。

【マッチザベイト】琵琶湖付近のブラックバスは、主にアユとスジエビを食べていると判明

ちなみにこの記事で調査された野田沼は彦根市にある内湖なので、今回の論文の調査対象地とはなっていない。ちなみにちなみにこの記事の元論文については、ころたのブログでも深~く掘り下げているので、よろしかったら覗いてみてね。ベイトの魚種だけでなく、バスとベイトのサイズの関係、チェイス距離、時刻と水質とルアー等々、興味深い調査結果が出ている。例えば

・Big Bait, Big Bassは真実。
・Big Bait には遠くの距離からでもチェイスをかける
・アユがベイトと言っても、真昼間のクリアウォーターには×。

等々・・・

1つの文献、1つの研究では明確にならない事柄でも、複数を照合すればより真実に近づいていける。それはまさに科学の在り方なのだよ、諸君。

そしてその調査結果を自らの腕とルアーで実証していく。
ねっ、バス釣りっておもしろいでしょ!

参考文献

*陸水学雑誌 62:261-270(2001);中島(琵琶湖博物館)ら

「滋賀県湖南地域における魚類の分布パターンと地形との関係」

書いた人

芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。理系大学を出て、某メーカーでの30数年のキャリアの間に出願した特許はざっと100件。理屈ばかりにやたらうるさい技術者がバス釣りにはまった。自然の中に身を置く快感、極上の思考ゲーム、テクニックとツールの融合、緊張感とリラックスの混在・・・。こんな遊びは他にない。釣りの中でも特別だ。そしてたどり着いたのがSmart Fishingという楽しみ方。あなたにもぜひそのおもしろさを感じてほしい。

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