常識を覆す、琵琶湖付近のマディウォーターでバスが好むベイトTOP3!

常識を覆す、琵琶湖付近のマディウォーターでバスが好むベイトTOP3!

 Match the bait。

釣りの基本であるこの言葉を実践するならば、実際にバスの胃の中をのぞいてみるのがいちばん手っ取り早いーそんなの無理だ!

…確かに釣り人の我々がやるのは大変だ。

ここは研究者の手を借りるとしよう。

研究によれば、マディウォーターでバスが特に好んで食うベイトフィッシュはあの魚だという。

調査概要

方法:投網や四手網を用いてバスを捕集し、その胃内容物を調査するとともに、糞中のDNA分析により捕食対象を明らかにした。あわせて水域全体の魚類も丸ごと調査し、バスの捕食対象と比較することで、バスが特に好んで食べる魚種を明らかにした。

調査水域:琵琶湖内湖の野田沼および江面川。野田沼は面積0.8haで外来魚が多く生息し、ルアー釣りのスポットとなっている。

調査期間:2010年6月17日から9月10日まで、6/17~30、7/2~27、8/14~9/10の3回。

この結果、調査水域において四手網と投網で採捕された魚類の総数はなんと約1400尾にもなる。ざっくり内訳を見てみると、尾数の多い順にニゴロブナ、ブルーギル、オオクチバス、ヨシノボリ、カネヒラ、タモロコとなった。魚類以外ではスジエビ、ヌマエビ、アメリカザリガニ、カエルの幼生、タニシが多く見られた。この中に含まれたオオクチバスは214尾、体長9.2~41.9cm 体重20.0~2025gだった。

この調査で、バスが好むベイトフィッシュを研究した、という論文だ。詳しく見てみよう。

マディウォーターでバスが好んでいたベイトとは?

 この論文には「オオクチバスの摂餌選択性指数」なる文言が登場する。調査をもとに、バスが好んで食べるベイトは何かを指数化したものだ。

例えば、「水域にはほとんど生息してないのにバスの胃からはたくさん見つかった」という魚種があれば、バスはその魚種をものすごく選り好みして食べていた、ということになる。つまり、これを知れば、「もっともバスが惹かれる魚種」がわかる!

ここは見逃すわけにはいかないだろう。さあ、摂餌選択指数が高かった魚種は何だと思う?

トップ3を順に見ていこう。

第3位: ヨシノボリ

第3位は以前も主要なベイトとなっていることが明らかになっていたヨシノボリだ。

以下のグラフを見て欲しい。水域全体からは5%ほどしか見つからなかったが、20%以上のバスがこの魚を食らっていた。以下のグラフを見てほしい。

少し数字がわかりづらいと思うのが、例えていうなら「ラーメン屋が100軒ひしめく激戦区にやって来たお客さんのうち20%は、5店舗しかない名店に訪れている」というような状況だ。ヨシノボリ、結構な人気店である。ただ、続く2種はもっとすごい人気だ。

第2位:ワカサギ

”ワカサギパターン”という言葉もあるくらい、我々バサーには馴染みのある魚だ。ワカサギは環境中に住んでいたと考えられる割合よりもはるかに高い割合で捕食されており、やはりワカサギはバスにとって、かっこうの餌食であるらしい…。

先ほどのラーメン店の例えで言うなら、ヨシノボリの4倍ほどの人気店だ。

第1位:アユ

「水域全体の調査」で捕まったアユは、全1400尾中のたった3尾だった。濁りの強い野田沼にはアユはほとんど生息していないのだ。にもかかわらず胃中からはアユがかなりの割合頻度で検出されたことがわかる。

 これは何を意味するのか?

仮説は2つ。

 A. バスは採集場所以外のアユの多いエリアでアユを捕食して、ここに移動してきた。
 B. 採集領域に迷い込んだ数少ないアユをバスが必死に捕らえた。

 Aについて考えてみよう。アユは視力、遊泳力ともバスよりも優れており、透明度の高い水の中でバスがアユを捕食することは容易ではない。アユが多く棲むクリアウォーターエリアでバスがアユをハントすることは稀なのだ。それに、バスの行動範囲はとても狭く、大抵30平方メートル圏内で行動することが知られている。したがって、わざわざ出向いてアユを捕食したとは考えづらいのだ。

 しかし、野田沼のような濁った水域ではどうだろう?

誤って濁ったエリアに迷い込んでしまった泳ぎの上手いはずのアユは、視力が奪われて近づくバスに気が付かないとことが起こり得るのではないだろうか。こんな点から、私は仮説B.に軍配を上げる。

 すると今までイメージしてきたジョインテッドクローなどのアユを意識したビッグルアーの使い方が変わってくる。いかにもアユが活発に泳いでいそうなクリアな川こそ、アユを意識したルアーの使い所だと思い込んでいた。しかし、今回の知識を踏まえれば、むしろアユの敬遠しそうなマッディウォーターの中でこそ威力を発揮する可能性が出てくる。

研究から見えてきたマッディウォーターでの新たなタクティクス

 ここまでの分析により、野田沼のようなマッディな湖沼での戦略が見えてきた。それは意外にも、マッディな水域でこそ、アユを意識したルアーの有効性が高まるということだった。

 単に濁った水にいそうな生物に似せる、アピール力を高める、という通説があるが、それだけでなく、バスの「好み」に合わせてルアーをチョイスする必要があるのだ。次回の釣行でマッディウォーターに遭遇したら、ぜひこの知見を活用して見て欲しい。特に琵琶湖など、近隣にアユの生息地がある水域では有効なはずだ。

参考文献

「琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる摂餌生態の推定」,杉浦,田口;日本水産学会誌 78(1), 43-53(2012)

“Movement of largemouth bass in impounded waters as determined by underwater telemetry” Warden et al. Trans. Am. Fish. Soc. 104(1975)

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