バス釣り もうひとつのパターンと、上達の関係

バス釣り もうひとつのパターンと、上達の関係

みなさん、「パターン」は意識していますか?

バスフィッシングを学び始めると、必ず聞くことになる言葉でしょう。より正確に言えば、「シーズナルパターン」かもしれません。四季ごとにバスがどう動くか、どう釣るかをまとめたのがそれで、バス釣りの教科書には必ずある項目です。

ただ、今は、これがあまり重視されなくなってきているかもしれません。飛ぶ鳥を落とす勢いのバスプロ・青木大介さんは、著書で「シーズナルパターンは意識しない」と言い切っています。それより、単純に釣れる魚を追う、という宣言です。また、日本のシーズナルパターンの権威ともいうべき田辺哲男さんですら、これを意識しなくなってきていると言っています。

個人的にも、シーズナルパターン云々と難しく考えるよりも、シンプルに自分の釣りを押し通した方が結果がいい、などと感じていたところです。納得がいく話です。

しかしこれは、「シーズナル」についての話であって、「パターン」そのものの話ではありません。パターンという言葉の元々の意味は、手本となることを指していて、バス釣りにも、手本とすべきやり方は存在するのは言うまでもありません。

そしてこれをちょっと違う切り口で見ると、バス釣りがうまくなるかもしれない。筆者はそう考えています。

 

もうひとつの「パターン」

筆者は、この、言ってみれば「魚の側のパターン」というものとは別に、「人間の側のパターン」もあると考えています。そして、これがけっこう重要だと思っています。例えば↓↓こんなものです。

 

思い出巡りパターン

あれこれやっても釣れない。どこへ行っても釣れない。釣れるという気持ちが持てない。その結果、過去に釣れた場所を、特に深く考えることもなくダラダラ巡ってなんとなく釣っているだけになるパターン。

試しすぎパターン

今まで行ったことがない新しい場所に行くのはいいが、ルアーやら釣り方やらもあまり自信が無いものを試し、結果としてわけが分からなくなるパターン。

 

……なんとなく、伝わるでしょうか。つまり、バスが釣れる状況ではなく、人間側のモードの話です。さらに、「やってはいけない」という意味で、アンチ・パターンとも言えます。↓こんなのもあります。

 

焦り過ぎパターン

自分は釣れていない。でも同行者が釣る。周りの人も釣れている。なんだか気持ちが焦って、釣りに丁寧さがなくなる、というパターン。

電池切れパターン

眠かったり疲れたりして、釣りがテキトウになるパターン :-0

 

なぜ人間側のパターンか

こうやって、人間側の状況に名前を付けることになんの意味があるのか? それは、ダメな状況に対処しやすくなることです。

つまり、自分の側のモードにも名前を付けて扱うことで、状況を冷静に受け止め、そしてその悪いパターンから逃れやすくなるかもしれない。そうやって自分の分析をすることで、釣果も上がるかもしれない。……ということです。

これはスポーツでも仕事でも学業でも、また普段の生活でも、みなさんが経験していることなのではないでしょうか。

例えばスポーツをやっていたとして、負けそうになると一気に心が折れてガタガタっといってしまうクセがある、とか。先日、テニスの大坂なおみ選手が4大大会で優勝し話題になりましたが、それ以前の彼女にはメンタル面での弱さがあったと聞きます。苦しい状況に呑まれてしまい、盛り返せなかったそうです。これも、筆者から見るとアンチ・パターンです。

あるいは仕事なら、少しキャパオーバーし始めると、とっちらかってミスをしてしまう、とか。先送り先送りで締め切りまで放っておいて、結局徹夜で仕上げる、とか。いろいろあるのではないでしょうか。

自分のこうしたクセ=パターンを認識することで、徐々に自分の行動を改善していく、対応していく。これは大人なら誰しもが経験してきていることだと思います。釣りの上達も、これと同じです。

蛇足:そもそもパターンとは

以下、蛇足です。

素朴な定義においてのパターンとは、前述の通り、単に手本になるものだったり様式を指したりします。もうひとつのこの言葉の捉え方は、クリストファー・アレグザンダーという人が使った「パタン・ランゲージ」という捉え方です。

アレグザンダーは建築家で、古いヨーロッパの町並みを分析し、人が心地良いと感じた要素を、言語で表しました。例えば、「小さな人だまり」「街路を見下ろすバルコニー」といったものです。全体的な計画があったわけではなく自然発生的に、ランダムに作られた町並みにも関わらず繰り返し現れ、そして良い効果を持っている要素。これを現代の建築にも活かすべき、という考えです。これらの集合体、またその考え方の理屈を、「パタン・ランゲージ」と表現しました。

このアレグザンダーのコンセプトは、その後ソフトウェア開発の現場でも使われるようになりました。その過程で繰り返し現れる問題を整理し、その良い解決策を「デザインパターン」として開発者の中で共有したのです。さまざまな開発者が蓄えた知恵、それも言語化されていない、暗黙知のようなものまで言語化し共有することで、結果として今のデジタル文明の発展がある、と捉えられます。バス釣りの世界でも、同じような進化が起こっていますね。

このパターン化というテクニックのキモは、言語化することではないでしょうか(ラベリングと言ってもいいかもしれません)。先に書いた釣りノートの記事でも、この言語化というスキルに触れましたが、つまり、言語化することで改めてモノが良く見えるようになる。対象をよりうまく扱えるようになる。……ということです。付け加えれば、言語の獲得という要素が、現生人類の繁栄に大きな影響を及ぼしたことは、多くの科学者が指摘しています。

「俺はそんなまどろっこしいことはせずに、野生の直感だけで釣る!」というのももちろん楽しいことです:-) 釣りとはもともと野生を目覚めさせてくれる遊びかもしれません。とは言え、もし、もっと釣りたい、楽しみたいと思ったら、こうしたもうひとつのパターンを意識してみてもいいのではないか。そんなささやかな提案です。

 

書いた人

ツリビト社会学カテゴリの最新記事