3つの時期に分け、スポーニング期の最適戦略を導き出す

3つの時期に分け、スポーニング期の最適戦略を導き出す

スポーニングは、それを狙う人にとっても、そうでない人にとっても重要なイベントだ。

しかし、我々はスポーニングについてどれほど正確な情報を知っているだろうか。とりあえずネットでスポーニング情報を漁る、なんとなく水温が上がったら、なんとなくハードボトムで、、、ではSmartとは言えない。

科学的な知識を元に、バスはいつ、どこで産卵するのかを予測できるようになることで、あなたの釣りはよりレベルアップするはずだ。さらに、本記事で紹介するその時期のベイトフィッシュの動きまで織り込めば、あとはキャストするだけといっても過言ではない。本記事では、まず環境条件とスポーニングの関係を確認した上で、スポーニング前後のバスの状態を3つに分け、それぞれに合わせた戦略を練っていく。

環境変化がバスのスポーニングに与える影響

まず紹介するのは、斎藤らによる、福島県のさくら湖の増減水がバスの繁殖に与える影響についての調査だ。そこには湖の水位と水温、他の魚種の繁殖期との関係等が示されている。一緒に紐解いていこう。

調査方法

 まずさくら湖の位置を確認しておくと、福島県田村郡、郡山市の東10kmの山間、阿武隈川の支流となる大滝根川のダム湖である。湛水(水を満たした)面積2.9平方km(図1)。このさくら湖において投げ網による魚類の捕獲を行い、バスおよび他の魚類の繁殖状況を調査した。

図1

具体的には成魚の生殖腺分析により捕獲時の産卵までの日数を推測した。また捕獲した当歳魚の耳石輪紋の計数により、その稚魚のふ化後の経過日数を計測した。これらからバスの産卵時期を求めていった。早速結果を見てみよう。

スポーニング開始とネストに付く期間を割り出す

 調査の結果、さくら湖における繁殖期は、日平均水温が15℃から21℃に上昇する5月上旬から6月下旬であると推定された。そして産卵のピークは水温が18.0℃の頃と同定した。
また他の研究者の報告によれば、オオクチバスは水温が16~20℃ のときに、水深が1~2.5mの砂礫底に産卵するとされている(西原・三栖,1989)。水温は本研究とほぼ一致する。

バスは平均水温21.0℃では、受精後孵化を開始するまでに64~65時間、孵化後の稚魚が浮上を開始するまでには118~119時間かかり(西原・三栖,1989)、自由に泳げるようになるのは、孵化後240時間かかる(Laurence 1969)。
すなわちバスの稚魚が自由に泳ぐようになるのには2週間が必要となる。その間、親バスはネストに貼りついて子守をしているのだ。

ベイトフィッシュのスポーニングも考慮しよう

 ここまでバスのスポーニングのみに着目してきたが、スポーニング中であっても時期によってはベイトを追う必要があるのは明らかだ。この時期、ベイトフィッシュとなる魚たちはどこにいて何をしているのだろうか?

 モツゴは4月上旬~7月上旬に水辺のヨシの茎や竹木類、石面および貝殻の内外面、キンブナとギンブナは3月下旬~6月下旬に岸近くのマコモの茎や枯れ葉など水面に浮いているもの、コイは4月下旬~5月上旬に沿岸の水草その他の浮遊物、タモロコは4月~7月にヤナギの根や浮いている水草あるいは板囲いの縁などにそれぞれ産卵する。オオクチバスが砂礫底に産卵するのに対して、これらベイトフィッシュは水草や浮遊物に産卵することが多いのだ。

スポーニング期の総合戦略

以上を踏まえスポーニング期の戦略を練っていこう。
バスのスポーニングは大きく3つの時期に分かれる。

  1. プリスポーニング
  2. ネスト バス
  3. アフタースポーニング

これらの各時期について戦略を練っていく。

(1)プリスポーニング
これまでの分析で産卵時期はさくら湖では5月上旬から6月下旬。ピークは平均水温18℃になった時であることが分かった。もちろん水温が主たる要因であるので、地域によりその時期はずれ込む。この時期、水温計測は必須だ。
つまり湖沼の水温が18℃に達していなければ、そこのバスはまだプリスポーニング期であると考えられる。ならばバスたちは産卵に備えて浅場に移動し、栄養を蓄えようと積極的にベイトを追っているはずだ。そのベイトとなるのは、やはり産卵期を控えた魚たち。それらの生息場所は上で紹介した通りだ。すなわちヨシや水草、浮遊物の近くにベイトフィッシュは集まっており、それを狙うバスも潜んでいる。モツゴやフナ、モロコを意識したルアー選択をしよう。

(2)ネスト バス
水温が18℃になっていれば、バスはもうネストで卵や稚魚を保護しているだろう。雌のバスは数回に分けて産卵するため、産卵後はネストを離れて次の産卵の準備をする。ネストで卵を守るのは雄バスだ。そして彼はネストで2週間は稚魚を守っており、その間は非常に攻撃的になる。
ネストを作るポイントは、こちらの記事を参考にすると、砂礫底の水深1mラインのカバーの近くだ。ポイントの位置を見極め、ネストの卵を狙うリザードやギルをイメージしてルアー選択しよう。バスはそれを捕食に来るのではなく、威嚇のために口を使うのだから、必然的にショートバイトが多くなる。フッキングは素早く確実に。

(3)アフタースポーニング
ネストを守り終えた雄バス、産卵を終えた雌バスは、体力を回復すべくフィーデングに向かう。その時期は水温18℃を越えた時期から2週間後。5月中旬以降だろう。もちろんバスの産卵は第2陣、第3陣と続くので、前回紹介した通り6月下旬までネストのエリアを変えながら続いていく。ポイントはネストのエリアに近いブレイクラインやカバー。まずはそこで体力回復に努めているはずだ。そこで口にするのは容易にフィードできるエビやザリガニだろうか。
そしてしばらく経てば、ベイトフィッシュの集まるヨシや水草のあるシャローに移動するだろう。シャッドを意識したルアー選択、ルアー操作がフィットする。

いかがだっただろうか。今回は科学研究で明らかになった知識を元に、3つの時期それぞれについて戦略を練ってきた。このように水温をキーポイントとして、狙うエリアやルアーを変えていくことで、スポーニング期のバスにフィットした戦略を取ることができる。

バスの気持ちになって春のデカバスの居場所を探っていこう。

 

参考文献

さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響;応用生態工学6(1),2003;斎藤ら

オオクチバスの発生とふ化仔魚の発育過程について,神奈川県淡水魚増殖試験場報 25:54-67,1989;西原・三栖,

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