大物バス狙いには明るい色?―ソフトルアーの色が釣果に及ぼす影響

大物バス狙いには明るい色?―ソフトルアーの色が釣果に及ぼす影響

連休前に、地元でも有数の大きな釣具店に足を踏み入れた。

壁一面に並ぶ、色とりどりのルアー。

その日はエサ釣り用の仕掛けが目当てだったので、幸いにも(?)事なきを得たが、もしルアーを新調しに訪れていたら、次々と目移りしてしまって大変だったに違いない。

何色のルアーを使えばよく釣れるのか。

ルアーアングラーなら誰しも気になる問題だろう。

どの釣具屋に行っても、同じ形をしたさまざまな色や模様のルアーが所狭しと並んでいる。

本や雑誌、ウェブ記事でも、どの色が釣れる、釣れないと、各々の実体験をもとに考察する議論は後を絶たない。

読者の方々の中にも、「釣れるルアーの色」にこだわりのある方は多いのではないだろうか。

今回は、「ルアーの色は釣果にどう影響するか」というシンプルな問いを野外で確かめた研究例をご紹介しよう。

6色のソフトワームで釣り比べ

カナダで魚の生態を研究しているMoragaらは、五大湖の北西部にあるオピニコン湖(Lake Opinicon)にて、釣り人8名の協力を得て野外での釣り実験をおこなった。

この湖はバス釣りが盛んで、ロックバス Ambloplites rupestris とオオクチバス Micropterus salmoides が主な釣り対象となっている(過去記事参照)。

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今回の実験ではこのうちオオクチバスを狙って岸近くの水草帯で釣りをし、6色のソフトワームを同じ時間だけ使って、ワームの色と、釣果(一定時間内に釣れる数)および釣れたバスの大きさ(全長)との関係を検証した。

使ったワームの色は、以下の6色:
・暗色系…黒(leech ‘black’)、青(bream ‘blue’)
・自然色系…赤(cigar ‘red’)、褐色(wasp)
・明色系…オレンジ(sherbert ‘orange’)、白(pearl ‘white’)
※ワームの長さはすべて12.7 cm(5インチ)

1つの色につき20分間、6色をランダムな順番で使うこととし、ワームの動かし方は‘リフト&フォール’(ワームを水中で自然に落下させ、底に着いたら少し糸を巻いてワームを持ち上げ、再び自然に落下させる)に統一した。

実験をおこなったのは、2014年の7月28日から8月13日までの17日間で、期間中の水温は日中ほぼ26℃で一定だった。

色によって釣れる数は変わらない

期間中、オオクチバスは合計119尾(全長21.1–49.2cm)釣り上げられたが、どの色(6種類)あるいはどの系統(3系統)のワームでも、時間あたりに釣れたバスの数には差がなかった【図1】。

図1

釣りの最中、バスがワームに食いつくタイミングは、フォール時(ワームを自然に落下させている時)に集中していた。

著者らは、ワームの色よりも、ゆらゆらと揺れる動きの方が、バスの食いつきを誘発する刺激になったのではないかと考察している。

大物が釣れたのは明色系

いっぽう、釣れたバスの大きさを比べてみると、明色系(オレンジと白)のワームで、他の2系統(自然色系、暗色系)よりも大型の魚が釣れていた【図2】。

図2

オオクチバスは成長するにつれて食性が変わり、全長30センチ未満のバスは甲殻類(ザリガニやエビ類など)、30センチ以上のバスは小魚を主なエサとすることが知られている。

オピニコン湖には、シャイナー(golden shiner)と呼ばれる小魚が多く生息しており、背側が白銀色、腹側がオレンジ色のこの魚と似た色をもつ明色系のワームが、大型のバスにはより効果的だったのではないか、と考察されている。

同様に、自然色系や暗色系は甲殻類に色が似ているため、小型のバスが多く釣れたのだろう、とも書かれている。

個別の色で比べると明瞭な差が出ているわけではなく、色のみですべてを説明できるわけでもなさそうだが、皆さんはこれらの結果をどう解釈するだろうか。

エピローグ

釣り場で、手持ちの色をまんべんなく試すのは難しい。

「まずは1匹釣って落ち着きたい」
「これまでの経験から、この色で通用するはず」
「最近の流行りはこのカラーパターンらしい」
「昨日買ったばかりの新色を早速試してみよう」

いろいろな思惑とともにあっという間に1日が過ぎ、気がつけば手持ちのルアーのごく一部しか使わなかった、というのもよくある話だ。

初めてルアーを投げた日、手ほどきをしてくれた先輩はこう言っていた。

「本来魚が食うはずのないモノで釣ろうとするんだから、エサ釣り以上に、“釣れる”と信じて迷いなく投げ続けることが大事」

ルアーの色と釣果には、必ずしも明瞭な関係性は無いかもしれない。

いっぽうで、自分が“釣れる”と思えるルアーを投げ続けることが大事なのだとすれば、気に入った色や模様にこだわってみることも、巡りめぐって釣果に結びつくかもしれない。

決して多くはない、けれどひとつひとつ“お気に入りポイント”のあるルアーが詰め込まれたルアーボックスを眺めるたびに、「次こそは頼むぞ」と心の中でつぶやくのだ。

――吉田誠[国立環境研究所琵琶湖分室、博士(農学)]

文献情報

Moraga AD, Wilson ADM, Cooke SJ (2015) Does lure colour influence catch per unit effort, fish capture size and hooking injury in angled largemouth bass? Fisheries Research 172: 1–6.

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