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吉田幸二流 霞ヶ浦のバスフィッシングと、それを支える「バス釣りの考え方」吉田幸二さん連載第2回

編集部より
吉田幸二さんによる霞ヶ浦シリーズ第2回をお届けします。テーマは「吉田幸二流・バスフィッシング」。48年間にわたる研鑽の結果行き着いた、王道的スタイル、と言えるでしょう。オーソドックスに見えるかもしれませんが、実際にそれでトーナメントを制してしまうのが、吉田幸二さん。その裏側にあるものを教えてくれました。

<これまでの連載はこちらから>
第1回:霞ヶ浦ってどんなとこ?基礎から知って釣りにつなげるための吉田幸二さん新連載!

今年のバスフィッシング、楽しんでいますか? 僕は全くと言って良いほど楽しめていませんのよ。それは、あれこれやることが多過ぎて、そう大杉神社なんですね。その大杉神社と言うのは、稲敷市の阿波(あば)にある神社で、あんばさまの愛称があります。

あんばさま総本宮「大杉神社」| 日本唯一の「夢叶え大明神」 | あんばさま総本宮「大杉神社」| 日本唯一の「夢叶え大明神」

通称「あんばさま」。陸っぱりの移動中、出くわした人も多いはず

 

阿波と書くのですから四国の阿波に関係があるのかも? そう疑っていました。すると、その昔に大和朝廷軍が太平洋の黒潮に乗って銚子に辿り着き、さらに当時は流れ海と呼ばれていた霞ヶ浦を遡って、石岡に国府を設けるまでの歴史に僕は辿り着きました。

恐らくは、その前後に四国の阿波地方からも、これまた黒潮に乗ってこの地を訪れた部族が小国を築いたようです。で、阿波……? この神社の巨大な杉の木(太郎杉は焼失)がランドマークとなっており、太平洋から霞ヶ浦を延々と遡り、この巨大杉を見て右に進むと石岡の高浜、常陸の国府に到着し、左に見て進むと鬼怒川を遡ったとのことでした。

さらにこの地の話では、南北朝時代も捉えております。南朝の後醍醐天皇と北朝の光厳天皇の覇権争いですね。で、この地で南朝方の北畠親房が神宮寺城、阿波崎城で北朝方と戦いました。奈良と京都の戦いは700年近く前のこの地でも起こっていたのですね。

ま、ま、ま、ま、歴史の時間はこれぐらいにして……。今年は世界的なコロナウィルス禍で、不要不急の外出自粛要請が出され、釣りに行けなかった人も多かったのではと推察されます。欧米では釣りは推奨されていましたがね。

その一方で、魚釣りの場合は一人ゲームなので、大会などの人が集まるようなイベントは別にして、他人と密になることはまずありません。むしろ、独り静かに釣り糸を垂れ、ウキを見つめたり、ルアーを投げたりするような孤独な時間が流れます。

バスフィッシングも基本的には独り釣行ですよね。だから、通常であれば密になる要素はないんです。霞ヶ浦の畔に住んでいると、変な所に出掛けるよりも霞ヶ浦にいた方が密を避けていられるのです。

そんなこともあって、自粛要請中の霞ヶ浦のほとりは大変に賑わっていましたねぇ。皆さん、魚釣りの面白さを存分に体感されたのではないでしょうか?

僕ですか、まったく楽しめませんでしたね。と言うよりも、ここ数年あまりにも忙しくて、釣りに行く暇がないんです。加えて、東京や千葉、埼玉の友人達が自粛要請で釣りを我慢しているのに、僕だけが楽しんでしまうってぇのも気が引けたからです。つまり、板挟み状態で釣りをしていませんでしたね。

「吉田幸二さんと言えばクランク」。ベテランにはすり込まれた法則。ミノー系もクランクの一種

 

最近は一日中の釣りが出来ていなかったんですよ。あれこれ拘束されることばかりが多くて……でもね、ちょいと1~2時間の釣りには頻繁に行けていたんです。ところが、コロナ騒ぎでそれも行き辛くなりました。ゴミ拾いもコロナ禍で拾えなくなりました。ウィルスが紙にも7~8時間は残存するなんてぇことを聞いたら……ねぇ、控えてしまいますよ。

crankin’ and flippin’──クランクベイトとフリッピング

でも、6月19日の自粛解除からは釣りに行くようになりました。が、僕にはまったく釣れませんねぇ。僕の魚はどこかへ避難したのでしょうか?

今年も例年通りのクランキングです。まぁ、フローティングミノーも使っていますが、クランキングの仲間ですからね。

僕の釣りでは、クランクベイトが多いです。一年間、ほぼクランクベイトと言っても間違いありませんね。それは、投げて捲いての連続動作が釣りをしている感を持続させるからです。まぁ、「馬鹿の一つ覚え」なんですよ。

吉田幸二さんのクランクボックスたち

いかにもバスフィッシングらしいルアーたち。でも、かわいいだけじゃない

吉田幸二さんのおすすめは、シングルハンドキャスト

フェンウィックのフリッピンスティック。一時代を築いたスタイルは、今も健在

 

それと、フリッピンタックルを常々用意しています。クランクベイトでは探り切れないときに出動です。ヘビーカバーの中にいるバスを誘い出すためです。カバーの奥の奥、さらにそのまた奥のような、クランクベイトではちょっと太刀打ちできないような、そんなヘビーカバーのインサイドスポットを探る時が、フリッピンの出番なんですよ。あっ、そう、そう、僕の中ではカエルを使ったケロッピンもフリッピンの一部です。

「ケロッピン」。フロッグ系ルアーも、フリッピング

「やりきる」ために

で、クランキングでもフリッピンでも、一つのことをとことんやり抜く……。
なんてぇ言い方をするとカッコいいんですけれど、やっぱり「馬鹿の一つ覚え」なんですね。
それと単純作業の繰り返し……そんな釣りが好きなんです。

でもね、一つでも得意技があるてぇことは、結構有利なことなんですよ。そのルアーで駄目だったら、他の探り方をすればいいだけですからね。とは言うものの、一つのルアーに精通しなければ、他の探り方も中途半端になってしまうので、くれぐれも一つをやりこなすことが大事です。

一つのルアーを徹底的にやりこなすと、そのルアーがどんな場所で、どんな状況下で有効なのかが判ってきます。簡単に言うと、そのルアーの得手不得手な場所や条件も、しっかりと理解できるということですね。

よく質問される一つに、『やりきる勇気、投げ続ける精神力を付けるには?』と言うのがあります。なぁ~に、それほど難しいことじゃありませんよ。自分を信じるための何かをね、日常的に根気よく続ければ良いんです。

それが、日々のストレッチでも良いし、筋トレでも良い。ジョギングでも、自転車乗りでも良いんですし、仕事で皆勤賞を……でも良いんですよ。バス釣りのために俺は心身を酷使して鍛えているという事実、「俺は頑張っている」という自分への実証が大切なんですね。

そして、日々釣りを忘れないことです。ロッドの素振りでも良いし、本を読むことだって良い。誰かのビデオを見てイメージトレーニングするのだって良い。大切なことは常に釣りを意識すること、釣りを離さないこと、バス釣りのために何かをする……と言うことが大事なんですね。

ゴミ拾いは心を整える手段でもある、ということ

 

僕の場合それが、ゴミ拾いなわけで……。魚を釣らせてもらう代わりに、水辺のゴミを拾う。これが魚釣りで僕の頑張る力、継続力の源になっているんですよ。こんなにゴミを拾ったのだから、釣らせて下さい……とね。

でもね、概ね釣れない。そんな時は、「ゴミの拾い方が足りないんだ……」と思うんです。

で、さらにゴミを拾う。貯蓄しておくようなものですね。すると、どこかで帳尻があって釣れちゃうんですよ。すると、「おお、やっぱり釣れた。ゴミ拾い、最高! 神様、ありがとう!」となるんですね。

バストーナメントに出場する時も、その前に必ずゴミ拾いをします。あんなに拾ったのだから、プラで見つけたここ、プラン立てをしたここ、そんな場所で頑張れれば必ず釣れる……そう信じることが出来るんですね。結果、頑張れるんです。信じるから、そして信頼するからこそ、張りつめた糸を切らすことなく継続できるんです。

バスフィッシングトーナメントをいかにやりきるか

バスフィッシングトーナメントのスタート風景

 

僕はね、よっぽどのことがない限り、プラクティスによって導き出した自分のプラン、予定通りの釣りをするんです。それは、常に完全試合を目指しているからです。

自分が練習や経験によって収集した情報を分析し、トーナメント当日のプランを立てると、ほぼその通りの釣りをするんです。インスピレーションで釣りをするのは、プラクティスのときだけですね。

だから、初日にどんなに成績が良くても、二日目はそれに左右されてプラン変更をすることはありません。二日目も予め自分が立てたプラン通りに釣りをするだけです。もし、二日間が同じプランだったら初日にコケても二日目も同じ釣りをするし、初日成績が良くても二日目のプランが初日と違っていれば、先ずは二日目のプラン通りの釣りをするということです。

スタート前の風景

 

悪く言えば、臨機応変ではないということです。頑固一徹、己を信じて邁進します。それがバストーナメントに参戦した1980年から、今までの成績を構築してくれた一番のキモではないかと思っています。もちろん、この間に数回ですが、神がかり的な現象が起き、閃きの釣りをして勝っちゃった!なんてぇこともありましたが、それは計算できない勝ちですね。バスに勝ったというより、競技者に勝ったということでしょうかね。

僕の考える完全試合と言うのは、プラクティスでバスの状況をしっかりと把握して、状況が一変してもそれに対処できるバックアップも考え、折れず、挫けず、ただただ己を信じて自分の釣りプランをやりきることではないでしょうか。

そして、自分で十分満足の出来る釣り、納得のいく釣りを展開することができれば、結果、それが着外であっても、バスとの勝負には勝ったと言えるでしょう。その湖のそのバスを釣ることに全身全霊を傾け、やりきることこそが大切なのです。

で、これをやりきるために、僕の場合はゴミ拾い……と、まぁ、こうなるのですね。

「備え」が「攻めの土台」を作る

 

最後に一つ付け加えておきますね。クランキングの名手になるには、ネガカリ回収機の携行は必須です。ネガカリしても回収できる……この精神的余裕は、貴方のバスフィッシングに大きなアドバンテージを付与してくれます。怯まない精神と果敢なる挑戦魂と言うアドバンテージですね!

<シリーズ記事>
第1回:霞ヶ浦ってどんなとこ?基礎から知って釣りにつなげるための吉田幸二さん新連載!
第2回:吉田幸二流 霞ヶ浦のバスフィッシングと、それを支える「考え方」
第3回:霞ヶ浦にはどんなベイトフィッシュがいるのか? バスアングラー的霞ヶ浦魚種考
第4回:霞ヶ浦の魚 アメリカナマズ・チャネルキャットフィッシュのこと

1951年生まれ。日本のバスフィッシングの創成期から活動するアングラー。数々のトーナメントで活躍したのち、霞ヶ浦のトーナメント団体W.B.S.を立ち上げる。霞ヶ浦を舞台にした「Basser All STAR CLASSIC」では、並み居る日本のスター選手を抑え優勝。霞ヶ浦を知り尽くしたアングラー。

NPO水辺基盤協会 理事長

ブログ:熱血! 幸運児

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