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釣れるクランクベイト使いになるために 実践編 吉田幸二さんに聞くクランクベイト・後編

クランクベイトを使いこなして自分のモノにするにはどうしたらいいか? 吉田幸二さんに聞く実践編の後半は、いよいよ「クランクベイトをどう使っていくか」について迫ります。

考え方編:「吉田幸二流・僕のクランクベイト理論|霞ヶ浦マスターはクランクベイトをどう考えるか?」

タックル編:「クランクベイト入門・実践編 ロッドは?おすすめのルアーは?吉田幸二さんに聞くクランクベイト前編」

 

クランクベイトの使い方ベーシック

──基本のタックルが揃ったとして、実際に、どう釣っていくかということをお聞きしていきます。その昔、クランクベイトはボトムをたたきながら釣る、というようなことも言われました。

ブラックバスという魚は障害物が好きだったり、エサとなる小魚やエビもその変化している場所が好きだったりです。そういうところにルアーを通す、ということで言えば、何かに当てていく、というのはもちろんです。

ただ、ずっとボトムに当てていく、ボトムノッキングということはあまりしていません。むしろ、中層を泳がせて、何か当たるものを探している、という感覚に近いです。

 

──いわゆる中層クランク。

バスって、いつも底べったりに居るわけではなくて、底を切ったり、高さのある障害物の横にサスペンドしている状態だったりして、別にボトムを釣らなくてはいけないわけではないんですよね。

例えばBasserのオールスタークラシックで優勝した時(編注 1998年大会)の魚は、いわゆるかけ上がりを浅いところから深い側に引いて、ルアーがボトムから離れたところでアタックしてきました。つまり、バスは深い側に位置をずらして獲物が来るのを待っている、ということにちょっと気がつきました。そこから、特に中層クランクを意識するようになったんです。

 

──言いかえると、基本的にはモノに当てすぎずに釣る、ということですか?

そうですね。でもその中でもし何かに当たったとしたら、それは高さのある障害物で、重点的に釣るべき場所かもしれない、というようなことがわかります。

もちろん2メートルの場所で30センチしか潜らないルアーを引いても普通は釣れないでしょうから、適度な選択をするわけです。そのためにも、さっき言った潜行深度を把握するのは大事ですね。

 

──なるほど、その時どのぐらいの層、上の方なのか下の方なのか、というのは、先ほどおっしゃった魚の状況次第で、そこにルアーを送り込むことが優先、ということですね。その中でも、もし障害物があるならば、時間をかける価値があるかもしれない、という。

ただね、何も感触がないと、やっぱり不安になるというか集中力が続かないというか……そういう課題はありますけどね。でも、僕が中層を基本にして釣っているということは、それで釣れると知っているから、ということですよね。

 

ルアーフィッシング入門者の大きな疑問 バイトと根掛かりの感触

──なるほど、その何かに当たった時、というお話です。よく、初心者の方の疑問で、「魚なのか障害物なのかわからない」という話があります。

とりあえず、何かに当たったら、リーリングを止めるんです。クランクベイトは止めたら浮いてきます。根掛かりを回避できるわけですね。もしその感触が魚だったら、向こうから引っ張っていってくれますよ。そうしたら、アワセればいい。持っていくのを待った方がいいですね。

面白いことに、バスってあんなにハリが付いているクランクベイトでも、まるっと口に入れた後、パっと吐き出すことができたりするんですよね。そんなふうに考えると、つい即アワセもしたくなります。でもそうしてしまうと、掛からないで外れてしまったり、もし障害物だったしたら、深く根掛かりしてしまいます。だから、向こうが引っ張るのを待つ方がいいんじゃないでしょうか。

で、もし障害物だとすれば、その周辺を丁寧に探る。そんなことでいいんじゃないかと思います。

クランクベイトと季節について知る

──これから、真冬に向かっていきます。やはり冬は、クランクベイトがつらい季節ですか?

あ~、僕はもう、1年中クランクベイトでやってるので、冬でも関係ないですね。ただ、人間の方がまいっちゃうので、ちょっと暖かくなってからのほうがいいかな、っていう(笑)。

でも実際は、寒くても魚は動いていると思いますよ。確かに下がっていくときは活性が下がりますが、生きている以上、なにかしらの食べ物は必要です。その水温に慣れる、というのもありますしね。

例を挙げると、少し前、アメリカナマズは5月ぐらいからしか釣れなかったんですよね。水温が上がらないとアメナマは釣れない、それまではバスしか釣れないからいいよね、って話だったんですが、しばらくして、早い時期にあるワカサギの産卵とかシラウオの接岸を覚えたら、「浅いところにいけばエサがある」ってことで、まだ寒い時期でもナマズが釣れるようになった。

 

──なるほど、慣れ。つまり、冬はクランクでは釣れない、ということではない。

実際、釣れてますしね。僕はもうあんまり寒いのは気が滅入りますが(笑)、若い人はどんどんやったらいいと思います。寒いと釣れないのか、逆になぜ釣れたのか、なぜそのルアーだったのか、あの人はなんで釣れたのか……なんて、いろいろ疑問に思って、そして考えた人が、バスフィッシングが上達するんじゃないですかね。

 

──春から秋は、一般的にもクランクベイトのシーズンですね。考え方としては同じですか?

そうですね、まあ夏は水温が上がってシェード中心になったり、水深が落ちると水温も下がるので深めの釣りになったりとか、そういう変化はあります。

その時その時のコンディションとかいろいろな条件、つまりパーツみたいなものがあるので、それを組み上げていくイメージですね。特に冬に釣りをしておくと、そのパーツ集めが楽になりますよ。

 

──そのあたり、もうちょっと詳しく教えてください。

まあ、やっぱり冬は厳しい状況であるのは間違いありません。でもそこで釣れると、なんでここにいるのか、なぜエサを食う気になったのか、ということがいろいろ事実を教えてくれるんですよね。さっきのアメリカナマズの話もそうです。いろいろ考えを広げていけるんですね。

 

寒い時期のビッグバイト。値千金。

 

風・雨・濁り……クランクベイトとその日その場所のコンディションについて知る

──なるほど。ではそのパーツ、その日その日のコンディションのこともお聞きしたいと思います。霞ヶ浦・北浦で気になるのは、やっぱり風です。吹きやすい場所ですよね。

やっぱり、ウィンディーサイドっていうんですか、風が当たる側が基本ですよね。そんなところでいい釣りをしている人がいっぱい居ます。小魚がそちら側に寄るので、バスも寄りますね。

 

──ここ数年、風が当たるショアのシラウオは注目されていますね。ドバドバ、な岸で釣れてしまうという。

シラウオもワカサギも、霞ヶ浦はここ7年ぐらい豊漁なんですよね。そうすると、食べたいだけ食べられる。魚だけじゃなくて、カンムリカイツブリなんかもそうです。小魚の動きが、それをエサにする動物の動きを左右していますね。だから、荒れていてもそこにエサがあれば釣れる、ということになります。

もちろん、危ないところには近づかないでくださいね。ライフジャケットもぜひつけて欲しいですね。

 

──風とも関連しますが、濁り、という要素もあります。これについて、何かお考えはありますか?

田んぼから流れてくる代掻きの排水は、もうぜんぜんお話にならないですね。

でも、濁りは基本的にチャンスです。雨が降って、濁ったうえに増水、というのはありがたいと思った方がいいです。やっぱり魚の警戒心が薄れるんだと思います。特に最近は、鵜が多いです。鵜から逃げるためにも、濁りの中に入るみたいですね。

もし、ほんとうに小さな水路だったりしても、雨でいい具合の濁りが入っているような場所なら、見逃さないようにしたほうがいいです。

 

──その雨はいかがでしょうか。伝統的には、チャンスだと言われたりもします。

雨はねえ……、人間が釣りづらい……(笑)。

いや、ローライトになるので、基本的にはいいと思いますよ。ただ、雨だからよく釣れた、というのは僕はあんまりないですね。むしろ、雨が降る前とか、降った後とか、つまり変化を狙っていくのがいいんだと思います。季節の変わりめ、なんていうのもそうですけどね。

 

ローライトはチャンス、というのは間違いない。濁りがあればなお良し。

 

そもそもクランクベイトはいつ出すのがいいのか?

──では、少しお話を変えて、「クランクベイトじゃなきゃ」というタイミングがあったりしますか?

いや~、クランクベイトしか使わないのでわからない(笑)。

一応、その昔はライトリグやら何やらをみんなやって、その後で今のクランクベイトに行き着いたんですけどね。でも、当たり前ですけど、同じ時に違うルアーを投げられないじゃないですか。体はひとつしかないんで。

同じボートでふたりで釣り比べたとしても、ルアーを通す順番も技量も違うじゃないですか。だから、もし「クランクベイトが他のルアーよりも有効なタイミング」というようなご質問だとすれば、それはもう神様だけが答えられるんじゃないかな……。

 

──では、「クランクベイトならではの利点」とはどんなことですか?

あ~、それは、止めると浮く、ということでしょう。

一番は、ルアーをなくしたくない(笑)。いやでも、例えばシャローのカバーを釣っていくとして、例えばスピナーベイトでも釣れるけど、それと比べて、ってことですよね。もちろんスピナーベイトでもいいんです。ただ、その時、止めたら沈む。逆に巻くと浮いてくる。

クランクは、巻いたら潜るし、止めたら浮かぶ。その違いが明確になると、どういう状況で使うのがいいかってことが見えてくると思いますね。

例えば岸釣りで手前に浅いゴロタが入っているとしたら、スピナーベイトはちょっとつらいかもしれませんよね。でも、クランクなら止めて浮かしながらクリアしてこれるかもしれない。そんな感じで、特徴を生かすという考え方なんじゃないですかね。

 

もう一回、クランクベイトというルアーをもう少し考えてみる

──吉田さんは、先ほど少しお話に出た、バルサ製のルアーも愛用されてますね。

そうですね。やっぱり、素材で変わります。バルサは中身が詰まっていて、浮力が高い。プラスチックのインジェクションは、中空ですよね。それで浮力を作っている。

そうなると、水の押し方というか、動きのニュアンスが変わってきます。バルサが水を押して泳ぐとしたら、プラスチックは水を流しながら泳ぐというか……。

 

──吉田さんのアタマの中に、クランクベイトの泳ぎの理想像がある、とか?

理想像っていうか、やっぱりこれも、特徴を生かすということなんじゃないですかね。バルサはバルサで、プラはプラで、良いところを見つけて、それを生かす釣り方を見つけて、そしてこの二刀流でいくとほぼ完璧だなあ、と感じています。

自分なりの、ですけどね。でも、バルサが多少高くても買ってもらえるのは、やっぱりその威力を知っている人がいるってことですよね。買う方は、バルサとプラスチックでは違うルアーだということがわかってるんじゃないでしょうか。

 

──昔のウィグルワートなんかは、白ボーン素材と透明素材では比重がまるきり違って、透明の重いものをサスペンドチューンして使ったりしていましたね。

そういうのもあります。昔のアメリカンルアーは、それこそ10個に1個ぐらいしか当たりルアーがなかったり。ウッドリームみたいな今の日本のハンドメイドは、もうほどんどが当たりですからね。逆に言うと、90パーセント以上の人にはいいルアーですよ。

バルサとかウッドとかって、材料を取る目によっても、重さが変わってきますよね。だから微妙な差はありますが、そこはメーカーさんがきちんとやっている。

逆に言えば、素材だったりちょっとした違いで変わってくるということは、ハリをちょっと変えたり、オモリを張ったりすることで、いろいろ変わってきます。そのあたりも、その人次第のところがあって、面白い要素なんじゃないでしょうか。ルアーを使い込んでいくと、そういう楽しみも生まれてきます。

いつも思うのは、クランクベイトに目があって、カメラが付いていて、水深もわかって……なんてえのがあったら面白いだろうな、と思います。

 

──今、スマートルアー社がそれを作っています(笑)(編注:カメラはついていませんスミマセン)。ちなみに、ミノーや、シャッド系と呼ばれるものも、吉田さんの中ではクランクベイトですね。

ウッドリームのシャッドには開発秘話がありましてね。最初は、ボトムをこつこつやるのったりした動きのものが作りたかった。でも、山木くん(編注:山木一人プロ)がシャッドの早引きがいいですよ、って言い出して、「ホントかよ」なんて言いながらやってみたら実際に釣れる(笑)。

じゃあ、ってことで、開発中のシャッドも、早引きもできるようにしようと。だから、ノーマルで使うと、早引きにいい。そしてちょっとウェイトを足してあげると、当初の想定だったボトムをつついてくるルアーにもなる。そんなことも考えながら、クランクベイトを開発したり、釣りをしていますね。

 

バルサ、コロっとしたボディとなれば、高浮力。これを生かす釣り方をしたい。

 

──ありがとうございます。では最後に、改めて、クランクベイトをやろうかな~と思っているかたがたにエールをお願いします!

たぶん、僕も含めていろんなことを言う人がいると思いますが、まあ、プロが言っていたらそれはひとつの真実だと思うんですが、それは君にとっては正しくないかもしれない、というようなことも思います。だから、いろいろやってみて、自分なりの答えを探していく、というのが楽しいんじゃないですかね。

さきほど言いかけましたが、なんで釣れたのか、疑問に思う気持ちや心構えが大事ですね。逆に言うと、それしかないかもしれません。1年間その場所で釣りをしてみて、春は釣れたけど夏は釣れない、なんで釣れなくなったんだろ?って疑問に思って、考えるわけですね。ジグソーパズルのピースが集まってきて、ひとつの写真ができあがっていくわけです。それがバスフィッシングの面白さですねえ。40数年たっても未だに夢中になってます。

 

──ありがとうございました! 引き続き、連載もよろしくお願いします!

 

<シリーズ記事>
第1回:霞ヶ浦ってどんなとこ?基礎から知って釣りにつなげるための吉田幸二さん新連載!
第2回:吉田幸二流 霞ヶ浦のバスフィッシングと、それを支える「考え方」
第3回:霞ヶ浦にはどんなベイトフィッシュがいるのか? バスアングラー的霞ヶ浦魚種考
第4回:霞ヶ浦の魚 アメリカナマズ・チャネルキャットフィッシュのこと
第5回:吉田幸二流・僕のクランクベイト理論|霞ヶ浦マスターはクランクベイトをどう考えるか?

1951年生まれ。日本のバスフィッシングの創成期から活動するアングラー。数々のトーナメントで活躍したのち、霞ヶ浦のトーナメント団体W.B.S.を立ち上げる。霞ヶ浦を舞台にした「Basser All STAR CLASSIC」では、並み居る日本のスター選手を抑え優勝。霞ヶ浦を知り尽くしたアングラー。

NPO水辺基盤協会 理事長

ブログ:熱血! 幸運児

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