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smartLure Model Zero タンクテスト

【Kickstarter】smartLure Model Zeroは釣れるのか? 開発者に聞いたルアーとしてのパフォーマンス

さて、すでにお知らせしているように、本スマルア技研の運営元、スマートルアー社が、プロダクトを発表しました。

【Kickstarter全訳】smartLure Model Zero – ビッグデータで“釣りの秘密”を解き明かす世界初のIoTルアー

ルアー開発にまったく関わっていない編集部ヤマダは、この記事を読んで、いろいろと「?」が浮かんでいます。おそらく一般の読者の方も同じでしょう。……というわけで開発メンバーに、このModel Zeroがどんなルアーなのか、根掘り葉掘り聞いてきました。

まずは「IoT」の部分を除いて、ルアー単体としての実釣性能の部分を、プロダクトデザイナー・Kuroda氏に聞きました。

※Model Zeroの「IoT」機能については、下記記事で、その「言い出しっぺ」に詳しく聞いています。合わせてご覧ください。
【Kickstarter】「スマートルアー」は役に立つのか? 深掘りで見えてきたデータ×ルアーの真の狙い

※また、ルアーとしての監修を引き受けてくれたルアービルダー・高洲敏春さんのコメントです。
【Kickstarter】ATTIC・高洲 敏春さんModel Zeroコメント

──改めてルアーの基本スペックを教えてください。

・硬質ウレタン製
・長さ:ボディー部130mm、テイルを含め172mm
・約55g
・最大潜行深度 約2m
・カラーは3色、シルバーオイカワ系、赤金、アユ

smartLure Model Zero

smartLure Model Zero ボディ長130mm、テイルを含め172mm、約55g。

 

……という感じです。メインの対象魚はブラックバスですが、いろいろな魚でテストして、釣果が出ています。

──「世界初のIoTルアー」、と言っても、もちろん実際に釣れなくては意味がないですよね。どう開発しているんですか? また、どう使うことを想定していますか?

このルアーは、ATTIC・高洲 敏春さんと共同でデザインしました。

──編集部ヤマダにとって、高洲さんは「レジェンド」です。80年代、泉 和摩さんのHMKLや、ムラセミノー等々のハンドメイドミノー界が華やかな時代があって、中でもタカスミノーが琵琶湖北湖で圧倒的釣果を残して、伝説になっていた……。

ですね。もちろん今も、ルアーの話を始めると、昼から終電まで離してくれないぐらい、アツいです。ATTIC公式サイトでも、そんな思いが見えます。

ATTIC タカスミノーページ

タカスミノーページ

ATTICウェブサイトより タカスミノーページ

 

そして釣り方ですが、いわゆる「引っ張り上げる釣り」でしょうか。主に近距離戦で、バンクやカバー、ストラクチャーの近くに投げて、存在感とフラッシングで口を使わせる。ロッドででもリーリングででも、ジャーキングを想定しています。デジマキとは違うかもしれませんが、瞬間的なリーリングでバランスを崩させる、という。

ストップした後は、一瞬戸惑ったように止まって、そのあとロールしながら浮上します。

小さめのビッグベイトと思っていただいていいと思います。最大潜行深度が2mとまあまあ潜りますが、そうしたジャークをメインの釣り方では、表層近くで釣ることになるので、根掛かりも必要以上に恐れなくてもいいと思います。

──少し前のビッグベイトは、リトリーブで追わせる印象がありました。今はそれではなかなか口を使わず、釣り人からのジャークなどの「仕掛け」が必要なイメージがあります。

そうですね。その「仕掛け」た時に、強みが発揮されます。

中心に据えているのはフラッシングです。ルアーの側面が、フラットでかつ面積が大きいと思います。ジャークした時の、このフラッシングのパワーが特徴です。

smartLure Model Zero フラッシング

smartLure Model Zero フラッシングの様子。

 

もちろんフラッシングすればいいというものではないと思います。最終的に口を使わせる必要があります。そこで、特徴的なフィンと、ウレタンという素材が生きてきます。

フィンと、硬質ウレタンという素材の役割

──フィンは大きな特徴ですね。

これは飾りではなくて、スタビライザーの役目を果たします。ジャークしてフラッシングした後、ふらつかずにスッと止まってくれて、明滅のメリハリがつきます。

また、硬質ウレタンという素材は、ルアーが発する音がおとなしくなります。普通のプラスチックのルアーは、サイレントのルアーでも中空のボディにフックとスプリットリングの音が響いて、まあまあうるさくなります。太鼓をたたいているようなものです。それに比べて、硬質ウレタンやバルサのムクの素材は、音がこもって響かない。バルサ製のラパラが魔力的に効くのは、それが秘密だとも言われていますね。他のメーカーさんのプラスチック製ビッグベイトでも、表面にワーム素材を付けて、音を消しているものがあると思います。

──リップ付きのビッグベイトと言えば、ジョイントされていたり、エラストマーかワーム素材のテールが付いていたりしますよね。このModel Zeroは一体成形(+硬いテール)です。このあたりの理由を教えてください。

これも、フラッシングの威力を高めるためです。ルアーに連続的にヒラをうたせるのは、ジョイントでは難しい。これは開発当初から変わらないコンセプトです。

──ストレートリトリーブではいかがでしょう。

もちろん、巻いて釣れるようにしています。

バス以外でも、メコンオオナマズやらバラマンディやらシーバスやら、いろいろ巻いて釣っています。

リトリーブ時の特徴は、テールです。先ほどフィンと言ったのはテール部に固定された穴あきの板で、その後ろにリングで接続されて、動くようになっているのがテールです。

このテールが、ローリングとウォブリングの割合を調整しています。ウォブルだけでもロールだけでもダメで、このバランスが釣れるルアーのひとつの要素だと考えています。

このテールに関しては、かつて重点的に行った北海道大学での水槽実験の結果が反映されています。単純に言えば、より生き物らしい動きになっている、と思っています。

smartLure Model Zero 北海道大学実験画像

北海道大学でのタンクテスト。赤丸は解析用のマーカー。さらにベリー部にも。

 

──カラーラインナップは、Kickstarterで英語で情報発信しているわりには、日本オリエンテッドなカラーだと思いました。オイカワ、アユは日本の魚ですし、メッキではないにしてもメタリックなゴールドは、アメリカのルアーでは少数派だと思います。

はい、でも、ベーシックなカラーをラインナップしたつもりです。メタリックのシルバー系、ゴールド系、そして塗りとメタリック両方の要素が入ったホワイトもしくはパールホワイト系。オイカワはベイトフィッシュとして語られることが昔より少なくなったかもしれませんが、表層系小魚系のベーシックではあると思っています。

カラーというか塗装に関しては、こだわっています。クリアの塗り重ねが、かなり厚いんです。耐久性ということもありますが、この厚さでフラッシングが強くなる効果があるんです。

私はプロダクトデザイナーで、ルアー以外にも、工業製品のデザインをしています。それで例えば自動車の塗装、特にメタリック塗装やキャンディ塗装(編注:輝きや質感を増す塗装技法)で、きらめきをしっかり出すには、クリア層の厚さが非常に重要です。

メタリック塗装の上にクリア塗装があることで、メタリック塗装面で反射した光がクリア塗装の表面で再度内側に反射し、それがまたメタリック塗装に反射する。クリア塗装が厚いとその反射量や乱反射が増えるので、反射する光の量や厚みが増すんです。

フラッシングも強く、そして手に取って眺めていても車のボディのように深い色味を感じさせる。この辺が通常塗装とは全く異なります。

smartLure Model Zero

ルアーの塗装の厚みはアクションにも影響する。smartLure Model Zero の場合は光り方を重視。

タックルと使いどころ

──想定しているタックルはいかがでしょう。約2オンス、リップ付きということで、専用タックルが必要かも、などとも思います。

コンセプトどおりの近距離戦メインで考えた時、開発陣はMH〜Hクラスの、普通のロッドを使っています。カリカリの感度重視ロッドというよりは、ある程度トルク感がありながら曲がってくれるようなものがいいとは思いますが、それもお好みで。それに20ポンド程度からのナイロンかフロロ。PEでももちろん大丈夫です。

巻き抵抗は、このクラスとしては軽いはずです。専用タックルでなくともOK、巻き抵抗の軽さもあいまって、普通に1日投げ続けられるものになっている、と思います。

──これまでをまとめれば、
・IoT部分だけでなく、実釣性能にも自信アリ
・普通のタックルでイケる
……ということでいいですか?

はい、大丈夫です。

冬から春にかけては、ビッグベイトが効きやすい季節だと思います。夏も、バスが表層に意識が向きがち、ということで、使いやすい。秋はそもそもヨコに動くものが強いというのがセオリーだと思いますが、マグナムクランク的に巻いて使えます。

ATTIC高洲さんのお膝元である琵琶湖はもちろんですし、関西圏のリザーバーは言わばビッグベイトの本拠地。関東でも、ビッグベイトを使ってみると普通に釣れんじゃん、という感じですよね。

正直、他のルアーと比べてどうだ、ということは言えませんが、長くて深い高洲さんのブラックバス・フィッシングの知恵も相まって、釣れるルアーになっていると思います。

──わかりました。……とは言え、ヤマダもまあまあスレっからしの釣り人です。ウデはたいしたことありませんが、新しいルアーにリアクションバイト、というわけにはいきません(笑)。これから、忖度抜きでテストしてみたいと思います。ありがとうございました!

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